ひと・もの・かねの詳しい説明


「ひと」の要件

一般貨物自動車運送事業の許可を受けるのに必要な「ひと」に関する要件は、以下の5つです。

 

1.欠格事由に該当しない

2.役員の法令試験合格

3.運行管理者 

4.整備管理者

5.運転者の確保

 

以下、詳しくご説明します。

 

1.欠格事由に該当しない

申請者が下記の1から8の事由に該当すると一般貨物自動車運送事業の許可を受けることができません。

 

1 一年以上の懲役又は禁錮の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から5年を経過していない

2 一般/特定貨物自動車運送事業の許可の取消しを受け、その取消しの日から5年を経過していない

3 申請者が法人の場合、その親会社や実質支配会社などが 2 に該当する

4 一般/特定貨物自動車運送事業の許可取消し処分に係る聴聞の通知を受けて、処分決定までの間に事業廃止の届出をした場合、その届出から5年経過していない

5 一般/特定貨物自動車運送事業に関する立入検査が行われた日から聴聞決定予定日までの間に事業廃止の届出をした場合、その届出から5年経過していない

6 上記 4 の事業廃止の届出をした法人の役員であった場合、その届出から5年経過していない

7 未成年者の場合で、法定代理人が1~6(3除く)および8に該当する

8 申請者が法人の場合、役員が1~7(3除く)に該当する

 

 

2.役員の法令試験合格

一般貨物自動車運送事業の許可を受けるには、申請法人の常勤の役員(個人の場合は代表者)が、申請後に運輸支局で行われる法令試験に合格しなければなりません。

試験は、運送事業関連、道路・交通法規関連、労働・安全衛生関連、独禁法・下請法といった幅広い範囲の13法令から30問出題され、試験時間50分で8割正答というのが合格基準となっています。

この試験は奇数月のみに行われ、1回の許可申請について2回しか受験できず、2回とも同じ役員が受けなければなりません。1回目の試験で不合格の場合、次の受験機会は翌々月の試験となり、これだけで許可を得るのが2か月遅れてしまいます。また2回目も不合格の場合は許可申請が却下となります(または申請者が取り下げる)。

 

3.運行管理者を選任すること

一般貨物自動車運送事業の許可を受けるには、営業所ごとに最低1名、車両数に応じて運行管理者を選任しなければなりません。

 

運行管理者の資格要件は、以下のいずれかです。

・運行管理実務経験者:5年以上の運行管理者実務経験を有し、かつ所定の講習を5回以上受講した者

・運行管理試験合格者:以下の受験資格に該当し、「運行管理者試験」を受験して合格した者(受験には受験資格が必要)

 

運行管理者試験受験資格は、以下のいずれかです。

・事業用自動車の運行管理の実務経験1年以上

・自動車事故対策機構が行う基礎講習を修了した者

 

運行管理者の職務内容

運行管理者は、事業用自動車の運転者の乗務割作成や、点呼による運転者の疲労・健康状態の把握、安全運行の指示など、運行の安全を確保する業務を行います。

 

運行管理者の配置基準

運行管理者は、営業所ごとに、保有車両1~29両までは1名、以降30両ごとに追加1名を選任、配置しなければなりません。

 

4.整備管理者を選任すること

一般貨物自動車運送事業の許可を受けるには、資格要件を備える整備管理者の選任も必要です。

 

整備管理者の資格要件は、以下のいずれかです。

・整備の管理を行おうとする自動車と同種類の自動車の点検もしくは整備又は整備の管理に関する2年以上の実務経験を有し、かつ、地方運輸局長が行う研修を修了した者

・1級、2級または3級の自動車整備士技能検定に合格した者

 

整備管理者の職務内容

整備管理者は自動車の点検・整備および自動車車庫の管理に関する事項の処理を業務とします。

 

5.必要な人数の運転者を常に確保すること

一般貨物自動車運送事業の許可を受けるには、必要な人数の運転者を確保しなければなりません。

必要な人員とは、最低限車両数と同数の運転者とされています。

霊柩運送や一般廃棄物運送などの場合を除く通常の場合、最低5両以上の車両が必要ですので、5両で許可申請する場合には5名以上の運転者が必要となります。

 

上記の人数に含むことができる運転者は、「日々雇い入れられる者」「2か月以内の期間を定めて使用される者」「試みの使用期間中の者(14日を超えて引き続き使用される者は除く)」でない者である必要があります。 運転者は、許可申請時点では確保済みでなく、確保予定であっても申請は可能です。

 

「もの」の要件

一般貨物自動車運送事業の許可を受けるための「もの」に関する要件は、「営業所」、「休憩・睡眠施設」、「車庫」、「事業用自動車」に関して定められています。

 

営業所の要件

一般貨物自動車運送事業の営業所とは、運行管理や整備管理など、車両や運転者の管理を行う基本となる場所です。詳しい要件は、以下の通りです。

 

使用権原がある

自己所有の場合は登記簿謄本(登記事項証明書)、賃借物件の場合は、賃貸借契約書等の添付で営業所を使用する権原があることを証明します。

賃貸借の場合は、契約期間が2年以上か、または契約期間満了時に自動更新条項があって安定的に賃借できることを賃貸借契約書で示すことが必要です。

 

関係法令に抵触しない

農地法・都市計画法・建築基準法により、建物の建築可否や土地の用途が規制されていますので、営業所はこれに抵触しないことが必要です。

市街化区域内は用途地域が定められており、住宅などは建築できても事務所は建築出来ないという場合もありますので、事前に確認が必要となります。

 

休憩仮眠施設の規模

休憩仮眠室については、運転者1名当たり2.5㎡が確保出来ることが求められます。仮に運転者5名なら、最低限12.5㎡の確保が必要になります。

 

事業遂行上適切なものである

営業所は、「必要な備品等を備えているなど、事業遂行上適切なものであること」ということも求められます。

特に事務机、イス、電話、パソコンなど、事業をする上で欠かせない機器が申請時点で写真に写るようにした方が良いと考えられています。

 

車庫の要件

場所

一般貨物自動車運送事業の車庫は原則として営業所に併設となっています。

併設できないときは運輸省告示に基づく営業所からの距離の範囲内(例:九州管内の場合、営業所から5㎞以内)でなければなりません。

 

収容能力

車両と車庫境界、車両と車両の間隔を50cm以上確保して、計画するすべての車両を収容できることが必要です。

また「他の用途に使用される部分と明確に区画されていること」とされています。

例えば、車庫の隣に物置き場などを設ける場合、どこまでが車庫であるかが一見して分かるようにすることと、必要台数が収納可能であることが求められます。

 

関係法令に抵触しないこと

一般貨物自動車運送事業の車庫も、関係法令(農地法、都市計画法等)に抵触しないことが必要です。

例えば、農地は車庫にできません。

また、建築物となるような車庫を設ける場合には、事前に建物が建てられる用途地域なのかを都市計画法や建築基準法に基づいて確認します。

 

前面道路との関係

一般貨物自動車運送事業の前面道路とは、車両が車庫に面して出入りする道路です。この道路の幅(幅員といいます)と収容する車両の幅との関係が、車両制限令に適合しなければなりません。

 

特殊な車を除いて公道を通行できる車両の車幅は最大2.5mで、この幅の車両が通行できる道路は一番厳しい条件で6.5m(車道幅員)ですので、車庫の前面道路がこれ以上であれば基本的に問題ありません。前面道路がこれより狭い場合は、収容する車両が車両制限令に照らして通行できるか確認が必要になります。

車両制限令の確認のためには、道路を管理する自治体から道路幅員証明を取得して許可申請書に添付する必要があります(国道の場合、幅員証明は不要)。

前面道路が私道の場合は、その土地の所有者等の使用承諾が必要になります。

前面道路が里道の場合には、里道管理者の証明書を関係する自治体より取得します。

また、その私道が接続する公道が、収容する車両との関係で車両制限令に適合していることが必要です。

 

事業用自動車の要件

最低車両数

一般貨物自動車運送事業の事業用自動車は、霊柩自動車と霊柩自動車以外の自動車(「普通自動車と」いいます)の二つの種別に分けられ、種別ごと営業所ごとに最低車両数が定められています。

トラックやワゴン車などの「普通車」の場合、営業所ごとに5両以上必要です。トラクタ(牽引車)とトレーラー(被牽引車)は1対のセットで1両とカウントします。

 

霊きゅう運送、一般廃棄物運送、島しょの地域における事業は、例外的に1両から許可を得ることが可能です。

 

使用権原のあること

自己所有の車両は車検証、購入予定であれば売買契約書等、リース車両はリース契約書の添付により、使用権原の証明を行います。

許可申請時点では車両が手元に無くても、売買契約書やリース契約書の写し添付で申請は可能です。

 

使用する自動車が輸送する貨物に適切なものであること

一般貨物自動車運送事業に用いる自動車の大きさ、構造が、輸送を予定されている貨物に適切なものであることが必要であるとされています。 

使用する自動車は、車検証の用途が「貨物」であることが必要です。貨物自動車は、トラックだけでなく、用途が「貨物」であれば、ワゴン車、バン車でも大丈夫です。(軽自動車や二輪は不可)

 

「かね」の要件

貨物自動車運送事業申請の「かね」の要件は、「資金要件」「財産的要件」に分けられます。

 

資金計画

経済的基礎=資金計画は、国土交通省の公示基準で下表のとおり、費目ごとにどれだけを事業開始に要する資金(所要資金)とするかの算出基準が決められています。

#資金計画表

上表の合計額を所要資金として、「全額以上の自己資金が、申請日以降許可日までの間、常時確保されていること(公示基準)」と定められています。

自己資金は、預貯金で確保することが原則です。

 

所要資金を常時確保するとは?

所要資金の確保状況は、預貯金の「残高証明」を運輸支局へ2回提出することで確認します。

残高証明書の提出のタイミングは、許可申請時と、ヒアリング・法令試験日当日になります。

2回の残高証明の提出でいずれも所要資金を上回る自己資金が残高証明で確認出来ることが必要となります。

 

損害賠償能力

原則として、「対人無制限・対物200万円以上」の任意保険に加入する必要が有ります。

任意保険料は、資金計画内に組み込みます。

もし危険物の輸送などを行う場合は、追加で運送に必要な保険に加入することが求められます。

 

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