一般貨物自動車運送事業許可(運送業許可)に必要な要件とは?必要書類や流れも紹介!
一般貨物自動車運送事業許可に必要な要件とは?必要書類や流れも紹介!
トラックを所有し、荷主の荷物を目的地まで運ぶ一般貨物自動車運送事業。
中型免許や大型免許があれば始められると考えてしまっている方もいますが、実は一般貨物自動車運送事業許可を取らなければ事業をスタートさせることはできません。
そんな一般貨物自動車運送事業許可を取得するためには、いくつかの要件を満たす必要があります。
この記事では、一般貨物自動車運送事業許可を取得するのに必要な要件や書類、大まかな流れについて詳しく解説していきます。
・一般貨物自動車運送事業許可に必要な要件とは?
一般貨物自動車運送事業許可を取得するために必要な要件は、以下4つです。
・場所の要件
・車両の要件
・資金の要件
・人の要件
これらを1つでも満たしていない場合は許可が下りず、事業をスタートすることができませんので注意してください。
・人的要件の詳細
では早速、人的要件の詳細について詳しく見ていきましょう。
・・欠格要件に該当しないこと
一般貨物自動車運送事業許可を取るためには、申請者や役員が欠格要件に該当していないことが要件となります。
以下のような欠格要件に該当している場合、許可が下りませんので注意が必要です。
・1年以上の懲役または禁錮の刑に処せられ、その執行を終わり、または執行を受けることがなくなった日から5年を経過していない
・一般・特定貨物自動車運送事業の許可の取り消しを受け、取り消し日から5年経過していない
・一般、特定貨物自動車運送事業に関する立ち入り検査が行われた日から聴聞決定予定日までの間に事業廃止の届出をした場合、その届け出から5年経過していない
他にも、欠格事由に該当する要件はいくつかありますので、事前に確認しておきましょう。
・・常勤役員のうち1名が法令試験に合格すること
一般貨物自動車運送事業許可を取得するためには、常勤役員のうち最低でも1名が法令試験に合格していなければなりません。
1回目で不合格になった場合でも、2回目で合格すれば要件を満たしたことになります。
ただし、2回目の試験で落ちてしまうと許可申請が却下され、次の試験日まで待つ必要が出てきますので注意してください。
・・有資格者を配置すること
有資格者を配置することも、許可を取得するための必須要件です。
具体的には、
・運行管理者1名以上
・整備管理者1名以上
の配置が必要になってきます。
運行管理者は、車両数29台までは1名以上、以降30台ごとに追加で1名を配置する必要がありますので覚えておいてください。
・・5名以上の運転者を選任すること
後ほど詳しく解説しますが、一般貨物自動車運送事業許可を取得するためには最低でも5台の車両が必要です。
そのため、必然的に運転者も5名以上必要になります。
・物的要件
では次に、物的要件の詳細について詳しく見ていきましょう。
・・営業所を確保すること
営業所を確保することも、一般貨物自動車運送事業許可を取得するための必須要件です。
営業所がはっきりしていなければ、行政が監督できません。
このようなことから、以下の要件を満たす営業所を確保できていない場合は許可が下りませんので注意してください。
・使用する権利を有していること
・農地法や都市計画法等関係法令に抵触しないものであること
・適切な規模であること
・・休憩室を設けること
運送業は、他の業種に比べると運転者をはじめとする従業員の拘束時間が長くなります。
これに伴って、休憩室を設けることが要件の1つとなっているのです。
休憩室の具体的な要件については、以下の通りです。
・従業員が利用できる適切な施設であること
・睡眠を与える従業員1人あたり2.5㎡以上の広さを有すること
・営業所または車庫に併設する物であること(例外あり)
・・車庫を設置すること
一般貨物自動車運送事業許可を取得するためには、営業所に併設、または一定の距離内に全車両が収容できる車庫があることが要件の1つとなります。
一定の距離については自治体によって異なりますが、10㎞以内、あるいは20㎞以内に設定されているケースが多いです。
・・必要最低限の車両を確保すること
先ほども解説したように、最低でも5台以上の車両を保有していないと許可が下りません。
また、これは会社全体で5台というわけではなく、営業所ごとに最低でも5台の車両が必要になりますので注意してください。
・資金的要件
では次に、資金的要件の詳細について詳しく見ていきましょう。
・・所要資金を常時確保すること
所要資金を常時確保できないと判断された場合は、許可が下りません。
こう聞いて、
「所要資金はどうやって計算をすればいい?」
という疑問を抱える方もいるでしょう。
一般貨物自動車運送事業に必要な所要資金については、以下の式で計算できます。
・トラック・営業所、車庫価格+各種保険料の1年分+従業員の給料や備品等の6か月分=所要金額
所要金額については、許可申請時と許可処分前の合計2回に分けて「残高証明」を提出しますので、正直に申告しましょう。
・・損害賠償能力があること
一般貨物に限った話ではありませんが、自動車を利用する場合は少なからず事故のリスクがあります。
このようなことから、損害賠償能力についても要件として組み込まれているのです。
具体的には、対人無制限・対物200万円以上の任意保険に加入することが義務付けられています。(100台以下の車両で事業を行う場合)
危険物の輸送を行う場合は、より多くの賠償金額を担保できる保険に加入することが求められますので注意しましょう。
・一般貨物自動車運送事業許可に必要な書類と流れ
では最後に、一般貨物自動車運送事業許可に必要な書類と流れについて詳しく解説していきます。
・・必要書類
一般貨物自動車運送事業許可を取得するためには、様々な書類を用意する必要があります。
・一般貨物自動車運送事業経営許可申請書
・運送事業計画書
・事業用自動車の運行管理体制を記載した書類
・事業の開始に要する資金の調達方法を記載した書類
・各施設が都市計画法や農地法、建築基準法に抵触しないことを証明する書類
・施設の使用権原を称する書面
・車庫前面道路の道路幅員証明書
・事業用自動車の使用権原を称する書面
・車両の売買契約書の写しまたは譲渡証明書など
他にも、
・資産目録
・戸籍謄本
・履歴書
・定款
・貸借対照表
など、状況に応じて様々な書類が必要になりますので、専門家に相談しながら進めていくことをおすすめします。
・・大まかな流れ
書類を揃えたら、以下の流れに沿って手続きを進めていきましょう。
1:運輸局に申請(審査期間は4か月から6か月程度)
2:法令試験の受験
3:許可書交付式の出席及び登録免許税の納付
4:運行管理者、整備管理者選任届の提出
5:社会保険への加入
6:緑ナンバーへの変更手続き
ここまでの準備が終わって、やっと事業をスタートできるようになります。
・まとめ
一般貨物自動車運送事業を始めるためには、許可を取得しなければなりません。
ただ、許可は取得するためには4つの要件を満たす必要があります。
1つでも欠けていると許可が下りず、一般貨物自動車運送事業を始められなくなりますので注意してください。
また、一般貨物自動車運送事業許可の申請には様々な手続きが必要になり、書類の作成には専門知識も必要になりますので、専門家に相談しながら進めていくことをおすすめします。