産業廃棄物収集運搬業許可の要件とは?
産業廃棄物収集運搬業許可の要件とは?必要書類や申請方法を紹介!
産業廃棄物収集運搬業許可を取得するためには、いくつかの要件を満たさなければなりません。
逆にいえば、要件さえ満たせば原則として許可は下りますので、事前に正しい知識を身につけておくことが大切です。
そこでこの記事では、産業廃棄物収集運搬業許可の要件や必要書類、申請方法について詳しく解説していきます。
・産業廃棄物収集運搬業とは?
産業廃棄物とは、事業に伴って排出される廃棄物のうち「廃棄物処理法」に規定されたもののことです。
これらを収集・運搬する事業のことを「産業廃棄物収集運搬業」と呼びます。
産業廃棄物は、処分方法を間違えると環境や人体に悪影響を与える可能性が高いため、事業として行う場合は許可を取らなければなりません。
無許可で事業を行った場合や、指定された方法以外で収集・運搬を行った場合は厳しい罰則の対象となりますので注意してください。
・産業廃棄物収集運搬業許可の要件
産業廃棄物収集運搬業許可を取得するためには、以下4つの要件を満たさなければなりません。
・施設要件
・能力要件
・財政要件
・欠格要件
それぞれについて、詳しく見ていきましょう。
・・施設要件
産業廃棄物は、
・飛散
・流出
・悪臭
上記が発生しない方法で運搬しなければなりません。
また、運搬した産業廃棄物は、正しい方法で保管および処分する必要がありますので、各産業廃棄物に対応した施設(自動車や船舶)などを保有していることが条件となります。
・・能力要件
産業廃棄物収集運搬業許可を取得するためには、環境省令で定められている能力基準に適合していることが条件の1つとなります。
つまり、産業廃棄物の収集や運搬に関する知識や技術を有していない場合は、許可が下りないということです。
産業廃棄物収集運搬業許可を取得する際は、各都道府県が実施している講習会への参加が義務付けられており、講習会の最後に行われる試験に合格すると「合格証」が発行されます。
この合格証を許可申請書類に添付しなければ許可は下りませんので注意してください。
・・財政要件
廃棄物処理法施行規則第10条に、
「事業者が産業廃棄物収集運搬業を的確に、かつ継続して行うに足りる経理的基礎を有すること」
と記載されています。
つまり、一定の資金がなければ許可が下りないということです。
許可申請を行う時点の直前3年間の決算書をもとに審査が行われ、問題ないと判断された場合は許可が下ります。
・・欠格要件
産業廃棄物収集運搬業許可には、欠格要件というのがあり、以下の項目に1つでも該当する場合は許可が下りません。
・暴力団員または暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者
・暴力団員がその事業活動を支配する者
・心身の故障によりその業務を適切に行うことができない者
・破産手続の決定を受けて復権を得ない者
・禁固以上の刑に処せられ、その執行が終わった日から5年を経過しない者
・廃棄物処理法または浄化槽法違反により、許可取消を受けてから5年以上経過していない者
・業務に関して不正または不誠実な行為をする恐れがあると認めるに足りる相当の理由がある者
・廃物処理法等の法律違反により罰金の刑に処せられ、その執行が終わった日から5年以上経過していない者
・産業廃棄物収集運搬業許可の申請について
では次に、産業廃棄物収集運搬業許可を受けるために必要な申請書類や、審査期間の目安について詳しく見ていきましょう。
・・必要な書類
産業廃棄物収集運搬業許可の申請を行う際は、様々な書類を用意する必要があります。
個人、法人で必要な書類が変わりますが、以下のような書類が必要になりますので、事前に準備しておきましょう。
・産業廃棄物収集運搬業許可申請書
・事業計画の概要
・運搬車両、容器等の写真(カラー)
・資産に関する調書
・誓約書
・講習会修了証の写し
・自動車検査証の写し
他にもたくさんの書類が必要になりますので、専門家のサポートを受けながら準備を進めていくことをおすすめします。
・・審査期間の目安
審査については、40日あるいは60日と規定されていることが多いですが、都道府県によって若干の違いがあります。
2か所以上で申請した場合などは、許可日が変わってくる可能性がありますので、受付からどれくらいで事業を開始できるかを逆算し、余裕を持って手続きを進めていくことが大切です。
・産業廃棄物収集運搬業許可の申請方法
では次に、産業廃棄物収集運搬業許可の申請方法について詳しく見ていきましょう。
ステップ1:講習会を受講する
先ほども解説したように、産業廃棄物収集運搬業許可を取得するためには、知識と技術を有していることを証明しなければなりません。
この証明になるのが、講習会後半に行われる試験の「合格証」です。
合格証を申請書類に添付しないと許可が下りませんので、まずは講習会を受講するところから始める必要があります。
ステップ2:申請の予約をする
産業廃棄物収集運搬業許可の申請は、自分の好きなタイミングで行えるわけではなく、事前に予約をしなければなりません。
予約が集中している場合、1か月以上先になってしまうこともありますので注意が必要です。
申請に1か月以上かかるということは、許可が下りるまでにさらにそこから1か月以上かかることになりますので、早めに予約を行いましょう。
ステップ3:窓口で申請する
予約日になったら、あらかじめ用意しておいた書類を持参し、窓口で申請を行いましょう。
申請には81,000円の手数料が必要ですので、こちらも忘れずに持参してください。
ちなみに、この手数料は全国一律となり、どこで申請しても同じ金額が発生します。
・産業廃棄物収集運搬業許可のよくある質問
では最後に、産業廃棄物収集運搬業許可のよくある質問について詳しく見ていきましょう。
・・許可に有効期限はある?
産業廃棄物収集運搬業許可は、5年間有効です。
継続して事業を行いたい場合は、期間満了日の2か月から3か月前までに更新許可申請を行わなければなりません。
・・無許可で営業しても大丈夫?
産業廃棄物収集運搬業には、様々なルールが設けられています。
ルールに違反すると、厳しい罰則を受けることになりますので、事前に確認しておかなければなりません。
産業廃棄物収集運搬業において最もよくある罰則の1つが、無許可営業です。
無許可営業を行った場合、5年以下の懲役または1,000万円以下の罰金またはその両方が科せられますので、絶対に無許可では営業しないようにしてください。
・・許可品目の追加は簡単に行える?
新規で産業廃棄物収集運搬業許可申請を行う場合、どのような産業廃棄物を取り扱うのかを選択することになります。
許可品目を追加する場合は、変更許可申請を行う必要があり、再び手続きを行って手数料を支払わなければなりませんので、取り扱う予定の産業廃棄物は最初にまとめて選択しておくのがおすすめです。
・・必要書類や申請方法は全国共通?
産業廃棄物収集運搬業許可の申請については、ローカルルールが存在しており、都道府県ごとで手続きの方法が変わります。
例えば、
・車両写真の撮り方
・必要書類
などが、エリアによって異なるケースもありますので、事前に確認しておかなければなりません。
・まとめ
産業廃棄物収集運搬業許可を取得するためには、いくつかの要件を満たす必要があります。
1つでも要件を満たしていない場合は、許可が下りませんので注意してください。
また、産業廃棄物収集運搬業許可申請には、様々な書類が必要であり、審査にもある程度時間がかかりますので、できるだけ早い段階で準備を進めていくことが大切です。
書類の作成には専門知識が必要であり、作成にも時間がかかりますので、本人が全て行うというのは現実的ではありません。
スムーズに許可申請を行い、できるだけ早く事業をスタートするためにも、行政書士などの専門家に相談しながら進めていくことをおすすめします